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初めてのオリジナルブロックプリント

こんにちは。

先日リリースしたオリジナルデザインのブロックプリント。

achikoko villageらしい、良い意味でクセのある生地が出来上がったのですが、この生地が出来上がるまでの経緯をここに綴りたいと思います。

 

 

 

 

初めてのオリジナルブロックプリント

このオリジナルプリントを作り始めたのは昨年の9月中旬頃。私がいつもメッセージをやり取りしているのはインドのラジャスターン州ジャイプールに住んでいる染料を調合するダイマスターでもあるプリンターさん。こんなデザインで作りたいと1枚のイラストを見せると

 

「これはブロックプリント用のデザインではないからできない」

 

と最初は断られてしまいました。。。

けれど私はどうしても作りたくて、ブロックプリントを作る工程を見たことが無いので作る勝手はよくわからなかったけれど、ブロックプリント用にデザイナーさんにトレースしてなんとか作って欲しいと頼み込み、作って頂けることになりました。多分、プリンターさんにとっては凄く迷惑なお客さんだったのではと思います💦

 

10月はじめにプリンターさんより木版の下書きが出来たからチェックして欲しいと5枚ほどの写真と一緒に連絡がありました。

 

 

 

その下書きだけでももう既にうっとり。1本1本の華奢でありながらしっかりとした線。出来上がってもいないのに既に感動していました。これで作業を続けていいか?とのことだったので、はい!宜しくお願いします!と即答しました。

 

 

木版ブロックの製作まずは木版の彫刻をするのに10日程かかるとの事で、その間に私はカラーパレットを参考に色の調整を行いました。オリジナルプリントということもあって、当たり前ですが全量引き取りになるので色選びはすごいプレッシャー(笑)でもここで無難を選んではachikoko villageのカラーが消えてしまうなと。失敗してもこれも経験、自分にそう言い聞かせて私が思うままの思い切った色選びをすることに決めました。

 

そして予定通り10日後に木版が完成したと連絡。大きな木版ブロックに繊細な花と蝶の模様が彫られた画像が届きました。

 

 

す、すごい・・・!

 

ほんとにすごい!!!

 

こんな繊細なスタンプ見たことないと感動しっぱなしでした。ブロックプリントの中には繊細な模様を表現するために捺す部分だけを彫ったモールドに真鍮を流し込み鋳造して作られたブラススタンプもあるのですが、これは紛れもなくオール木!木なのです!彫職人んさんの素晴らしい技術を目の当たりにして、職人てこういうことなんだろうなと。1つ1つの作品に全てを注ぎ込む、作品への愛を感じました。私もこんな職人になりたいなと改めて思った日でした。

 

 

天然染料での染色そしてその2週間後に試作が出来たと連絡が。私の伝え方が悪かったようで花の色と蝶の色が逆になってしまっていて、改めて配色を伝え、10日後に連絡があり再度色の確認を行いました。ですが私がイメージしていた色と大きく違くてここを妥協してしまうと後悔してしまうなと思い、この色でお願いしたいと伝えると、これはベジタブルダイ(天然染料)では出せない色だということが発覚。

 

え・・・

 

 

 

うそ・・・ 

 

 

先に色は伝えていたから可能なものと思っていただけにとてもショックでした。ただ事前に100%同じ色にはならないからねと忠告はされていました。もちろんベジタブルダイを都度調合している訳だから全く同じ色にはならないのは当たり前とわかってはいたのですが、実際に仕上がった色を見るとやっぱりイメージとの違いが大きくて。

もう少しこの色をこうすることは出来ないか?と投げかけると有機顔料であれ100%同じ色で表現できるとの事。けれど私は顔料インクには抵抗があって、環境への負担と天然染料のような風合いが無くなってしまうことを懸念していました。そんなことを伝えると、有機顔料が環境に悪いのは勘違いだと。
私は顔料というと科学的合成物というイメージしかなかったのでこれを良い機会にと調べてみることに。

 

 

有機顔料と無機顔料【有機顔料とは】
天然由来または合成された有機化合物から作られる。天然由来の有機顔料は植物、昆虫、微生物などの有機物から抽出されるため、比較的生分解性も良く環境負荷が少ない事が多い。合成有機顔料は石油由来の化合物をベースに合成されるため生分解性は比較的低い傾向にある。

【無機顔料とは】
主に天然鉱物や合成鉱化合物ら作られる。一般的には酸化鉄、酸化チタン、クロム酸化、二酸化チタンなどの顔料があり、これらの鉱物や化合物は粉砕、精製、処理の工程を経て最終的にパウダー状になる。無機顔料はその安定性や耐光性から多くの産業や製品で使われている。ただ、採掘などの鉱山活動や化学プロセスの観点から環境負荷は大きい。
※これは色々な染料、顔料の企業やインドの繊維会社のホームページ、チャットGPTなどを参考にしながら私なりにまとめてみたものです。

 

なるほどなるほど。やはり人間の労力も大きな環境負荷になってるんだな~と改めて感じました。カラフルが好きな私、、なんだか考えさせられる問題でした。

 

生地の色について色々と悩んだのですが、天然由来の有機顔料であればそこまで天然染料と原料は変わらないと判断し、天然有機顔料で印刷することに決めました。

 

 

ついに完成・・・!!

ですがこの時点で11月上旬。インドでは毎年10月から11月にかけてディワリ(Diwali)という1年で最も大きな宗教イベントが5日間にわたり開催されるのですが、2023年は11月10日から開催されるとの事。この間は製造ストップするとの事だったので、それはやむを得ないなと思い、No problemとインド人ぽく返信してみました(笑)

 

ディワリが終わってしばらくすると有機顔料でのプリントが終わった旨の連絡があり、画像を確認すると・・・・

 

 

イメージ通りの色に仕上がってる!

 

かわいい!すごくかわいい!!

 

私が欲しかったやつ~~~~!!

 

 

とっても嬉しかった瞬間でした。11月末にこの色味で生産に入ってもらうことを伝え、12月上旬には既に2種の生地が仕上がり発送していただきました。

 

天然染料ではないのでナチュラルな風合いは若干欠けてしまいますが、イメージ通りに仕上がったことが何よりも嬉しかったです。そしてちゃんと最後まで私の意見を受け止めて作ってくれたプリンターさんはじめ職人の皆さんに心から感謝です。

 

今回、初のオリジナルプリントだったこともあり、わからないことや知らなかったことがわかってすごく勉強になりました。そして次回オリジナルプリントを作る際はもう少し染料の勉強をして天然染料での染色にリベンジしたいなと思います。改めて工房の皆さんに感謝です。ありがとうございました!

 

オリジナルプリントNo.226はこちら

 

オリジナルプリントNo.227はこちら

 

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